夜を濡らす雨に
遮られた貴方の背中が
霞んでいく視界の中で
歪んでいく
「卑怯だろ?」
呟いた俺の言葉に、貴方は静かに嘲って紫煙を吐く。
「一層くれなきゃ良かったのに」
所詮、子供でしかない俺は、そうしないと分からないから。
「なあ、アンタならくれる?」
首に縋り付いて強請る俺に、静かにキセルを置きながら、引き寄せるように耳元で
「お前も其れをくれんならな?」
薄く嘲って声の出処を貪った。
ねぇ、
一つをくれるのなら、
全てを頂戴?
中途半端じゃ物足りない。
満たすことなんか出来ないだろ?
その躯も心も魂も
果てなく永久を巡る輪廻ですら
あの日雨に掻き消えた
貴方の背中を抱き締めて
「俺毎斬り砕いて」
切なる願いは呪縛と化す程
貴方を蝕んでも
-了-
■ヒトリゴト■
一護が過去誰かと付き合ってたというのが前提での剣一です。雨の日に思い出したように話し出して、剣ちゃんは静かに全部聞いて、その上で一護の望むものを差し出す。その代償に、剣ちゃんも一護から「同じ」モノを貰う。
意味が分からない方はスルーでどうぞ。