白いと息に気温の冷たさを感じて、ふと、アイツの居る世界にも冬はあるのだろうかなどと、柄にも無いことを考えた。
「…まぁ、夏生まれの俺よりは寒さに強いんだろうけど。」
それでも、彼の身を案じずにはいられない。――否、彼を思わずにはいられないのだ。
「最後に逢ってから…2ヶ月…か?」
我ながら、良く耐えている方だと思う。女々しいことを言うつもりもそれをアイツに押し付ける気も毛頭無いが、それでもやっぱり逢いたいと思ってしまう。
住む世界も生きる道も何もかも違う。本来であれば相容れることすらもなかったはずだ。――それでなくとも、二人を隔てる障害は多い。
弱音を吐くつもりはさらさらないが、
「――せめて、今だけは…良いよな…?」
求めても得られない温度が切なくて、凍え悴む指先に生温い涙を落とした。
――ふと、掌に涙ではない濡れた感触が伝う。
ゆっくりと伏せていた視線を上げると眼前には、
「――ぅ、わ―…っ」
景色を斑に隠す様に降り頻る、真っ白な雪。
幻想的な光景を綺麗だと思う前に、雪が彼を連想させて、軋みを上げる心臓の痛みを感じる侭にまた涙を零した。
「…っきしょ…、止まんねぇ――」
もしもこれが彼ならば、冷たく自分を拒絶することなく、凍える自分をその小さな体躯で抱き締めてくれるのに――…
-了-
■ヒトリゴト■
…謎の日一。
ずっと放置してあったものをとりあえず乗っけてみた。
………一体何をどうしたいんだ自分。